【解説】弁護士が解説!「ぼったくり防止条例違反」でホストを逮捕

「ぼったくり防止条例違反」でホストを逮捕
「5千円でいいから」と東京・歌舞伎町のホストクラブに20代女性を誘ったとして、警視庁は、東京都新宿区百人町1丁目のホスト浦井亮容疑者(22)を都ぼったくり防止条例違反の疑いで逮捕し、17日発表した。浦井容疑者は容疑を否認している。料金として120万円を女性に支払わせたという。

本件はいわゆる「ぼったくり防止条例違反」でホストを逮捕した事案です。

ぼったくり防止条例は正式には「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例」と言い、この条例では、性風俗営業等に対して、不当な方法による勧誘や料金の取り立てを禁止しています。

具体的には、料金を著しく安いものと誤解させるような勧誘を禁止したり、暴言を交えて料金の取り立てをしたりする行為を禁止し、違反者に対しては、懲役や罰金を科すことを規定しています。

弊所では今まで多数のホストクラブの売掛金整理のご依頼を受けてまいりましたが、料金についての説明に曖昧なまま高額な支払を請求するケースは後を絶ちません。

しかしながら、このぼったくり防止条例違反で摘発されたケースはありませんでした。

それは、料金についての説明や取り立てに際しての言動について、明確な証拠がなく、警察が刑事事件として介入することが難しかったという事情が一つとして挙げられます。

このような前提からすると、本件の摘発は珍しいケースと言えるでしょう。

弁護士の見解

弁護士 若井 亮

最近、担当ホストやホストクラブから、かなり強引な取り立てを受けているというご相談が増えております。
おそらく、新型コロナウィルスの影響で売掛金を支払うことができなくなった顧客が増えたことにより、担当ホストが焦って回収に走っていることが原因として考えられるところです。
弊所でご相談いただく方は、風俗店に勤務する方が多いのですが、一様に、入ると思っていた収入が入らず、売掛金を支払うことができないと仰っております。

緊急事態宣言の解除による影響

緊急事態宣言が解除され、段階的に夜の街へのアクセスが緩和されている状況にはありますが、経済活動が直ちに元通りになるとは考え難く、今後もホストクラブの売掛金に関わる問題は増えていくものと予想されます。

もちろん、飲食代金については、それが正当に発生したものである限り、支払義務を負うのが原則になります。

しかしながら、お酒を扱う店であることに加え、ホストクラブの営業形態が非常に特殊であることからすると、本件のような不当な勧誘や取り立てが行われるリスクは0にはならないでしょう。

リスクへの準備
それでは、そのようなリスクにきちんと対処するためにはどのように準備をしたら良いのでしょうか

リスクへの対処方法

リスクに直面した場合
ステップ①
証拠の保全

まず、担当ホストやホストクラブとのやり取りは、可能な限り証拠に残すようにしましょう。
既にお話をしたとおり、証拠がないことで警察が介入できなかったというケースが多くあります。
また、刑事事件とまではいかないまでも、弁護士が皆さまの代理人として交渉する場合、担当ホストやホストクラブ側の不当な行為があったことを裏付ける証拠がなければ、言い合いになってしまうこともあります。
メールやLINEのやり取りはもちろん、強引な勧誘や取り立てが行われていると感じたときは、例えば、電話の会話を録音するなど、証拠を保全するようにしましょう

ステップ②
早い段階で弁護士に相談
早い段階で弁護士に相談してみましょう。

弊所ではホストクラブの売掛金整理のご相談・ご依頼を多数お受けしておりますが、早い段階でご相談いただいていたのであれば、事態の悪化を防げたというケースが少なくありません。

既に触れた、証拠を保全する際のポイントや方法をアドバイスしたり、早い段階で代理人として介入することで、債務が拡大することを防げたりします。

被害が大きくなる前に
これはどの法律トラブルにも言えることですが、ホストクラブの売掛金整理の事案では、特に被害の拡大スピードが速いという特徴があるため、皆さんには早い段階でご相談いただきたいところです。
ステップ③
弁護士に対応を依頼する

自宅や実家に来るようなことがあれば、警察にも相談をしましょう。

担当ホストが自宅に取り立てに来る親族や職場に事実を伝えて立て替えを求めるという方法を使うことがあります。

しつこく自宅に来て面会を強要したり、暴言や暴力を用いて支払を要求すれば、刑法上の強要罪や恐喝罪にも該当しますし、ご親族については債務者でないため、支払義務を負うものではありません

担当ホストは回収のため、様々な揺さぶりをかけてくる訳ですが、物理的な攻撃に対しては、警察に被害相談をしておくと良いでしょう。

全てのケースに妥当するものではありませんが、相談を受けた警察署員が電話で簡単な警告を入れてくれることもあります。

そうすれば、一時的にでも心の余裕ができますので、その際にご家族やご友人のほか、弁護士に相談をして、売掛金を無理なく整理できるよう行動を起こすことが可能になると思います。

合意書の締結

今回の解説のまとめ

冒頭で触れたケースでも出てまいりましたが、最近、マッチングアプリで知り合った男性に、ホストクラブに連れていかれるというご相談が増えてまいりました。
今でも路上で勧誘をするというスタイルは残っておりますが、最近ではSNSなどを利用し、一般人を装ってホストが営業をかけてくるというケースがあるようです。

ホストクラブの利用を否定するものではありませんが、トラブルが多い場であることを十分認識したうえで、適正な範囲で遊ぶようにしましょう。
そして、トラブルに発展しそうになったら、繰り返しになりますが、証拠を保全し、なるべく早い段階で弁護士や警察に相談をするようにしましょう。

弊所では無料相談を365日24時間受け付けております(待機している弁護士の都合が合えば、早朝や夜中でも直ちに無料相談をお受けすることが出来る場合がございます。)。

またLINEでの相談も可能ですので、少しでもご不安な点があればご連絡ください。

さらに、深夜や早朝のお問い合わせについては、遅くとも翌営業時間にはご連絡をいたしますが、緊急のご相談のときは、担当弁護士直通番号 070-6946-7967(担当弁護士 若井) または 070-2821-5596(担当弁護士 澤田)までご連絡ください。

こちらの直通番号にご連絡いただくのがもっとも早い対応になるかと思います(留守番電話になったときは、メッセージを吹き込んでいただくか、ショートメッセージ等で連絡いただければ幸いです)。

もし、ホストからの、不当な恐喝や脅迫の被害に遭われたら、すぐに弁護士にご相談ください。速やかに平穏を取り戻します

弁護士法人若井綜合法律事務所