不倫をして肉体関係を持った女性から暫く連絡がないと思って安心していたら…
妊娠したから責任をとって欲しい
妊娠したから認知してほしい
養育費を支払って欲しい
子供を堕胎するから慰謝料を払ってほしい
払ってくれないなら子供を産む。
この件について奥様と相談したい。
弁護士が対処法を解説します。
弁護士法人若井綜合法律事務所
はじめに
最近は,不倫や養育費に関する相談や記事がインターネットに溢れており,多くの方の目にとどまる機会が多いからでしょうか,不倫期間中や交際関係を解消した後に,不倫相手から妊娠したから責任を取ってほしいとか,養育費を払ってほしいと言われ,どう対応していいか分からないという相談を多く受けます。
また,子供ができたので堕胎するから慰謝料を払ってほしいと言われたという相談を多く受けます。
男性側としては,自分の子供ではないと考えても,万が一自分の子供だったら…と思うと不安で仕方ないところですよね。
子供が生まれてしまった場合,いくら認知を拒否しても,相手方には強制認知訴訟という法的手段を持っており,自分の子供であった場合には,裁判所が認知の判決を下すことになります。
認知ということになると,男性側には2つの大きな法的効果が生じます。
法的効果①
養育費支払義務です。
基本的に子供が成人するまで,毎月養育費を支払っていかなければならなくなります。
法的効果②
産まれた子供に相続権が発生します。
民法が変わり,現在では嫡出子と被嫡出子の相続割合は同じになりました。
とても大きな法的義務ですね。
脅迫内容も千差万別で,近時は,請求や要求を飲まなければ,インターネットにこれまでのことをすべて晒すや,反社的勢力の人に相談している等様々です。
請求される金額には幅がありますが,中には数千万円支払えといわれる方もいらっしゃいます。
請求されるときは,いつまでに,金〇〇円を支払えといった具合に期限が切られている場合が多く,早急な対応を強いられることが多いです。
上記のような法的義務や脅迫的態様に気が動転してなかには数百万円,数千万円を支払ってしまう方もいらっしゃいます。
弁護士 澤田 剛司
それでは,どのように対応すべきでしょうか?
以下を御覧ください。
分析
原則,お金をすぐには払ってはいけません!
本当に妊娠しているかは不明ですし,何らの合意書の取りかわしをせずにお金を支払ってしまった場合,再請求・再脅迫されるリスクがあるからです。
冷静に考えれば当たり前のことですよね。
他人から受けた相談だったら容易に適切なアドバイスができる内容です。
しかし,突然自分自身にこのような請求が飛んで来たらどうでしょう?バラされたくない一心で高額な金銭を支払ってしまったり,とんでもない内容の合意や約束をしてしまう可能性があると言えませんか?
適切な判断ができると自信を持って言えるでしょうか。
対応①(ご自身で対応)
ご自身で対応する場合,冷静になることが必要です。
相手方からの請求が法的根拠に基づくものかどうかを確認し,不当な請求である場合には,断固拒否すべきでしょう。
相手方の請求が法的根拠のあるものならば,できる限り不利にならない形での着地点を目指すべきです。
交渉時
交渉に持ち込めたとしても,極力相手方と直接会うことは避けましょう。
当事務所では,ご依頼者がご自身で対応している時期に,直接相手方に会いに行き,そこで言い争いになって相手方に手を挙げてしまい別のトラブルに発展した方もいました。
その他の事例をざっと挙げると,出向いた先に怖い人が待ち構えていた,合意取りかわしのために出向いたつもりが,出先で騒がれ,新たにとんでもない約束をさせられてしまった等です。
話し合いで金銭的解決ができることになった場合にも注意は必要です。この金額で許してやると言われて飛びついてはいけません。
何らの合意書の取り交わしをしないで金銭を支払っても,その後の再請求を防ぐことはできないからです。
対応②(弊所(弁護士に依頼))
弁護士に依頼した後は,弁護士が交渉の窓口となります。
依頼者には,相手方との連絡をすべて断っていただき(電話,メール,ライン等の全て),相手方が依頼者に連絡を取りには弁護士を通さなければならない状態を作ります。
この状態で,依頼者が相手方に住所を知られている場合は、相手方が住所地に突撃してくる可能性が残り,それを確実に防ぐ方法は正直なところございません。
しかし,突撃のリスクをできる限り下げていく交渉方法はございますので,ご相談いただけたらと思います。
交渉時
弁護士は,相手方の請求に法的根拠がなければ,不当な要求には一切応じません。
まずは,相手方の請求に法的根拠があるのかを確定します。
具体的には,相手方が本当に妊娠しているかについての証拠を提出させます。
その際,病院の診断書の提出を求めます(母子手帳では妊娠の証拠になりません。
妊娠したと告げるだけで母子手帳を交付する字自体がほとんどです)。
ここで妊娠の証拠を出してこない相手方とは交渉をしません。
実際には証拠を出せずに相手方の請求・要求が止まる場合も多くあります。
その後に本当に妊娠していたということはほとんどないと言ってよいでしょう。
実際に妊娠している場合もあります。
その場合,子供を堕ろすから金を払えという要求がくる場合は極めて多くあります。
この場合,とてつもない高額の支払い要求をしてくることが多い印象です。
どこかで金額の着地点を見だした場合でも,直ちに金銭を支払うことはしません。
実際に堕胎したという証拠を出さなければ,金銭を支払った後に,子供を産んでしまい,その後認知・養育費の請求が飛んでくる可能性があるからです。
堕胎手術を受けた確認ができてから金銭を支払うことになります。
もちろん,一定の金銭を支払った後に相手方から再請求されないように,清算条項の入った合意書の取り交わしをするのは当然です。
では,実際に子供が産まれて,自分の子供であった場合はどうでしょう。
この場合は,適式な法的手続きに沿って,決まった養育費(裁判外の協議や養育費調停で決まった額)を粛々と支払えばよいだけのことです。
焦って,請求がきた段階で高額の金銭を支払う必要は全くないのです。
まとめ
不当な要求・請求(不当請求)には強い姿勢で臨む。
応じてはいけません!
法律家としての知見に基づく解決をお示しするのはもちろんのこと、弊所で蓄積したノウハウに基づき、軟着陸するためのアドバイスをさせていただきます。
もし、不倫相手から、恐喝や脅迫の被害に遭われたら、すぐに弁護士にご相談ください。速やかに平穏を取り戻します。
弁護士法人若井綜合法律事務所