【事例紹介】パパ活において女性が被害者となるケース

女性が被害者になるトラブルについて

「パパ活」とは一般には、女性が男性(パパ)の食事などに付き合う代わりに、お金や物品をもらう活動を言います。
このようなパパ活では、従来、いわゆる「美人局」のような形で、パパ側が脅迫や恐喝の被害者となるケースについてご相談・ご依頼を受けることが多くありました。
下記記事も参考にしてみてください。
参考 【コラム】パパ活で相手の女性から脅迫されたら?『弁護士監修』穏便に解決する方法 しかし、最近、弊所には女性が被害者になるご相談が寄せられています

以下、弊所でご相談・ご依頼をお受けした実例をご紹介いたします。

・詐欺被害の例

女性はお金持ちを装った男性と、いわゆるパパ活サイト(パパ活の相手を探すサイト)で知り合ったようです。
サイトのプロフィールにおいて、相手の男性は会社を経営しているという話をしていたとのことでした。
男性のメッセージでのやり取りは紳士的で余裕があり、高級ホテルのラウンジで会うことを指定され、さりげなく高級時計を見せられるなどしたため、依頼者は相手が会社を経営するお金持ちであると信じて疑わなかったようです。

注意
詐欺において被害者を信用させることは極めて重要な作業になります。
このあたりは、プロが人間の心理を踏まえながら綿密に考えておりますので、なかなか見抜くことは難しいでしょう。

詐欺の内容ですが、パパとして月の手当を支払うことのほか、女性のクレジットカードの決済口座を自分の口座にすることを提案されるようです。

男性の説明内容が実現できるならば、女性は自分のカードをいくら使っても、決済口座が男性の口座であるため、当該男性の口座から引き落とされるので懐は痛まないことになります。
本当にそんなことができるのかと女性たちも疑うようですが、男性は、銀行の頭取クラスと通じているから、個人的に頼めば可能であるという話を実に自信満々に話すようです。

果たして、男性の話を信じた女性はカードを渡し(カードを持っていない女性はカードをわざわざ作ったうえで)、決済口座の設定手続に必要であるからという説明を受けて、なんと暗証番号まで教えてしまうのです。

カードを受け取った男性は、その足でATMに向かい、限度額一杯までお金を引き出すという手口でした。

・恐喝被害の例

この事案においても、女性はお金持ちを装った男性と、いわゆるパパ活サイトで知り合ったようです。
知り合った後のメッセージのやり取りは全てLINEで行っておりました。
やはりこの事案においても、詐欺の事案のときと同様に、相手の男性は自身がかなり裕福であることをアピールしてくるようです。
実際にLINEのやり取りを見ましたが、かなり時間をかけてじっくりと刷り込もうとしている印象であり、頭ではあり得ないと考えたとしても、ここまで反復して刷り込まれれば信じてしまうのも無理はないと思える内容でした。

LINEでは月の手当のほか、旅行へ行く話やブランド品を買ってあげるという話がされておりましたが、実際に会う段階になると、男性の仕事が忙しくなり、会えなくなるというやり取りが繰り返されていました。

ここまでであれば何ら女性に被害は出ていないのですが、とあるタイミングで状況が一変します。
男性が女性のLINEでの言動に因縁をつけ始め、気分を害したので調査会社を使って女性の身元を特定し、パパ活をしているという事実を家族や職場に伝えるという話をし出したのです。
男性とのこれまでのやり取りから、男性がかなり裕福であると信じていたため、圧倒的な資金力で様々な調査をされてしまうのではないかという点に女性は強い不安を抱いたようです。
女性が慌てて何度も謝罪をすると、男性はコントロールできると踏んだのか、少しずつ金品を要求し始めました
しかしながら、男性が現金を振り込ませたり、自ら物品を受け取りに来たりすることはありませんでした。ここがこの事案の特殊性なのですが、自分が指示した人物に金品を渡すことを指示したのです。

MEMO

そもそも会ったこともない男性であるため、男性と指示された人物が同一人物であることも否定できないのですが、いずれにせよ、指示を受けて金品を受け取った人物が「ネットで知り合った人に、金品を受け取ってくるよう言われただけ、どこの誰かもわからないし、事情も知らない」と言えば、指示をした男性の身元特定は難しく、指示を受けた人間も共犯となるリスクを減らすことができてしまいます。

このあたりは将来発生し得る事態を想定して作り込んでいるのでしょう。

 

結局、男性からの脅迫を受けながら、指示された人物に金品を渡し続け、最終的には400万円近くを渡してしまったという事案でした

・パパ活において女性が被害者となる事案に共通する点

実例を2つ見てまいりましたが、これら以外の事案も含め、パパ活において女性が被害者となる事案に共通する点は、相手方の身元特定ができないという点です。
また、相手方に、こちらの身元は特定されているという点も共通点として挙げられるでしょう。

要するに相手方は自分の身元が知られていないことから、大胆な犯行に及ぶことができるのです。
他方、女性としては身元を知られているということが弱みとなって、あらゆる揺さぶりをかけられてしまう状態にあることになります。

特に、パパ活となれば、家族や職場に知られたくないという方が大半であるかと思いますので、揺さぶりをかけられれば容易にコントロールされ得る状態にあると言えます。

実際の対応方法について

・相手方の身元を特定するための情報を収集しておく

多くの方がパパ活サイトからLINEへ移動し、メッセージのやり取りをしておりますが、LINEの情報だけでは相手方を特定するのは困難です。
ベストは2つ以上の身分証明書で相手方の身元(氏名、住所など)を確認することですが、最低でも電話番号は入手するようにしたほうが良いでしょう。
電話番号が分かれば、契約者情報から相手方の氏名や契約時の住所などを調査し、身元の特定ができる可能性があるからです。
最近では、LINEで通話もできるため、携帯電話の番号を知らないというケースが多くあります。
そうなると相手方の身元特定ができないという事態に陥ってしまう可能性がありますので注意が必要です。

・安易に身元の情報を相手方に渡さない

身元を明らかにしなければ実際に関係を持つことはできないと言われれば、金品を受け取る側の女性としては拒みにくいところがあるかもしれません。
しかしながら、最初から安易に身元情報を相手方に渡すことは危険です。
特に、最近はSNSなどから身元を辿られる可能性がありますし、相手方に資力があれば調査会社を利用して調査をされる可能性も0ではありません。
また、実際に身元の特定はできていなくとも、さも出来ているかのように装って、揺さぶりをかけながら、情報のさらなる収集を行おうとしていたケースもありました(実例として、女性が話をした最寄り駅の情報、学生という情報から、通学先を特定し、学校に通告すると揺さぶりをかけながら、住所などの情報を出させようとしたケースがありました)。

・揺さぶりをかけられたら速やかに警察か弁護士に相談をする

①相手方の言動が脅迫に該当するようなものであれば、すぐに警察に被害相談をしましょう。
脅迫に該当するかどうか分からない場合でも、一度、警察に相談しておくことをお勧めします。
中には、パパ活をしたということを警察に話したくないことから、相談を躊躇される方もいらっしゃいますが、一人で抱える期間が長いほど被害が拡大しているという関係が見受けられますので注意が必要です。

②警察への相談は躊躇してしまうという方や警察には相談したが、未だ事件性がないのですぐには対応できない、何かあったら来てくださいと言われてしまったという方は、弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、刑事事件でなくとも代理人として介入し、相手方との直接の接点をなくしたうえで迷惑行為に対して毅然と対応することが可能です。

~まとめ~

弊所では最近増え始めたパパ活において女性が被害者になるケースを多数取り扱ってまいりました。
繰り返しになりますが、対応が遅れたことにより被害が拡大するという関係がこの種の事案には多く見受けられます。
パパ活の相手男性の言動に不安を感じるようなことがあれば、どんな内容でも構いませんので弊所に速やかにご相談ください。