旦那が出会い系サイトの女性を妊娠させた場合

不貞行為とは

バブル期に流行ったテレホンクラブ、あの頃は、下心丸出しの人たちが新しい出会いを求めてよく利用されたものです。それが今では、スマートフォンで出会い系サイトを利用すれば、かんたんに新しい出会いができてしまいます。

出会い系サイトもｍａｔｃｈ、Ｏｍｉａｉ、ｄｉｎｅといった様々な種類のものがあります。

では、婚姻関係のある男女が出会い系サイトを利用しただけで不貞行為となるのでしょうか？

そもそも「不貞行為」とは、配偶者としての貞操義務の不履行をいい、もっと分かりやすくいうと婚姻関係にない男女が複数回にわたって性交渉をすることをいいます。これは、裁判上の離婚原因として、民法７７０条１項１号に規定されています。

出会い系サイトの利用が不貞行為といえるのか

この裁判上の離婚原因には、他に「悪意の遺棄」「婚姻生活を継続し難い重大に事由」などが列挙されており、これらに該当すれば、一方の配偶者の離婚したくないという意思に反しても、最終的に判決で離婚が成立してしまいます。

では、話を戻して、例えば、出会い系サイトを利用して、男女が喫茶店で会って話をするだけで不貞行為となるかといえば、この段階では性交渉まで及んでいないので、不貞行為になりません。

出会い系サイトの利用は、あくまでも不貞行為のきっかけとなるだけであって、例えば、合コン、相席屋、クラブへ行くのと同じようなものです。頻繁にこれらが行われて家庭を顧みなくなれば、不貞行為にはならないとしても「婚姻生活を継続し難い重大な事由に」該当し、離婚原因となる可能性が出てきます。

不貞行為の証拠収集方法

出会い系サイトをきっかけにして、食事、キスの段階を過ぎて、性交渉まで進んだ場合、不貞行為に該当しますが、これを理由に離婚するためには、さらに不貞行為の証拠、例えば、出会い系サイトで知り合った男女がラブホテル、不貞行為の相手方の自宅から出てきた写真を手に入れなければなりません。

証拠に基づいた事実認定なくして、離婚意思のない不貞行為をした配偶者相手には離婚することはできないのです。

この証拠収集方法については、やはり弁護士、離婚専門の探偵の協力が必要になってきます。現代においては、不貞行為の相手とのスマートフォンでのメール、LINEでの会話記録はとても重要な証拠となっています。また、離婚専門の探偵の尾行によるラブホテル、不貞行為の相手方の自宅から出てきた写真は、決定的な証拠となります。

ただこれらの証拠は、不貞行為の現場を直接に立証する性行為の動画と違って、あくまでも間接的に不貞行為を立証するものにすぎません。つまり、これらの証拠を積み重ねることで、はじめて裁判官に配偶者の一方が不貞行為をしていた確率が高いとの心証を抱かせ、不貞行為事実を認定させて離婚へ導くのです。

不貞行為によって相手方が妊娠

出会い系サイトをきっかけに夫の不貞行為の相手、または、不貞行為をしていた妻が妊娠した場合でも不貞行為がなかったと言い逃れることができるのか？

夫が出会い系サイトで知り合った不貞行為の相手が妊娠したとしても、それが必ずしも夫の不貞行為の結果といえるかは明らかといえません。不貞行為の相手が複数の男性と性行為をしていた場合は、誰の子か明らかでないからです。この場合、夫と子のDNA鑑定、不貞行為の相手が他の男性との性行為がなかったことを立証しなければなりません。この立証ができなければ、残念ながら妊娠したとしても不貞行為がなかったと言い逃れることができてしまうのです。

妻が出会い系サイトで知り合った男性の子を妊娠した場合もDNA鑑定、妻が夫と性行為をしていなかったことを立証しなければ、同じことになります。

弁護士に依頼するメリット

以上のように、出会い系サイトをきっかけに配偶者の不貞行為があったことを立証するためには、さまざまな証拠を収集しなければなりません。

この証拠収集に長けているのは、やはりさまざまな離婚事件を解決してきた弁護士です。依頼者からの事情聴取をもとに不倫した配偶者の不貞行為事実をどのような証拠により暴いていけるかは、やはり多くの離婚事件を解決した経験によるものです。依頼者にとっては、離婚原因事実を暴くというのは、人生に一度あるかないかの経験ですが、弁護士は、多数の依頼者を通して、これを経験しているのです。やはりこの経験があるがゆえに頼りになるのです。