対価を支払わない
出会い系サイトは基本的に男女が恋愛の相手を探すところです。出会って結婚する人たちも少なくはないようですが、素性を偽って登録することもできるため、援助交際や売春行為のために利用する人も多くなっています。
昨今では年上の男性と一緒に食事やショッピング、ゴルフなどをするだけで女性が対価を得る「パパ活」というものがあります。これは性行為を伴わない関係であれば合法とされていますが、性行為の対価として金銭授受があった場合は違法行為となる可能性があります。
対価が支払われない場合、請求できる?
出会い系サイトでは、隠語を使うなどして相手を募集し、性行為の対価を約束して会う場合もあります。素性を明かさずに会うことが多いため、男性が支払わずに逃げる、女性が前払いでお金だけを受け取って逃げるといったトラブルも発生します。
女性が体を提供して(性行為をして)お金がもらえない
性行為を条件として対価の支払いを約束したのに、性行為後、シャワーをあびている間にホテル代も支払わずに逃げてしまう男性がいます。通常、相手をはじめから騙すつもりで約束を交わしていれば、詐欺利得罪(刑法246条2項)となりますが、このような場合、被害届を出すことができるでしょうか。答えは「NO!」です。
民法90条(公序良俗)に反する契約は、法律的に無効となります。被害届どころか、自分が売春しようとした事実を認めることになってしまいます。
ホテル代なら立て替えた分を民事で請求できる可能性はありますが、男性の名前や住所がわからなければ難しいでしょう。探偵や弁護士に依頼して携帯電話の番号から住所、氏名をわり出せたとしても、ホテル代より高くつきそうです。
男性がお金を渡したのに性行為ができなかった
上記の逆パターンです。男性がお金を渡してシャワーをあびている間に、女性が逃げてしまった場合です。これは金銭授受が行われているだけに、詐欺や盗難になるように思えますが、約束そのものが民法90条(公序良俗)に違反しているので、性行為は女性から男性への対価として認められません。
ただし「美人局(つつもたせ)」のように、女性側には、はじめから性行為を行う意志などなく、第三者が介入して金銭を要求してきた場合は詐欺罪、金銭を脅し取る行為は脅迫罪、恐喝罪となる可能性があります。そのような被害に遭った場合は、警察に届け出ることをおすすめします。
出会い系でも「食い逃げ」被害は請求できる
出会い系でも請求できる事案として「食い逃げ」があります。高級レストランを予約して、男性が食事代も含めた対価の支払いを約束したのに、食事後に席を立ってそのまま逃げた場合です。「パパ活」ではそういった被害が多いようです。女性は対価を得られないばかりか、食事代まで支払うことになってしまいます。
このような場合、男性がはじめから逃げるつもりで食事をしていれば、「食い逃げ」として詐欺利得罪(刑法246条2項)で逮捕されます。食事代とその日の対価についても民事で請求することができます。ただし、これは性行為を伴わない場合に限ります。
出会い系サイトで巻き込まれる金銭トラブル
出会い系サイトを援助交際や売春行為のために利用しようと企んでいる人たちは、男女を問わず偽名やニックネームで登録し、素性を明かすことはないでしょう。お互いに違法な行為をしていることがわかっているので、大胆な犯罪、詐欺行為に出ることも珍しくありません。
お金や貴重品を盗まれる
対価を得られないだけならあきらめもつきますが、財布からお金を抜かれる、貴重品を盗まれるなどの被害もあります。
脅迫被害
性行為に及んだあと、対価を支払わないばかりか、撮影した写真や動画などをもとに脅迫されることもあります。
まとめ
出会い系サイトでの援助交際や売春行為は犯罪です。対価の不払い被害に遭っても、民事で請求することはできません。たとえ、契約書を交わしたとしても、民法90条(公序良俗)に反する契約は、法律的に無効となります。対価の不払い被害を避けるためには、事前に振込み、または現金前払いしてもらうしか方法がありません。
このような関係においては、被害者本人も法にふれることを行っているため、脅迫や暴行などの恐ろしい犯罪に巻き込まれても泣き寝入りすることになってしまいます。出会い系サイトで知り合った相手とその場限りの関係をもつことには、多大なリスクが伴うということを忘れないでください。