出会い系の女性に慰謝料請求
最近、夫が携帯電話を肌身離さず持っている。トイレにも、お風呂にも……寝ている間にこっそりチェックしてみると、いかがわしい内容のやりとりがたくさんありました。夫が出会い系サイトで相手を見つけて不倫をしていた! このような場合、相手の女性に慰謝料を請求することはできるでしょうか。
既婚者が出会い系サイトを利用
インターネットを通じて不特定多数の出会いを求める「出会い系サイト」。既婚者の登録を禁止しているサイトもありますが、独身証明書の提出を求められなければ、身分を偽ることもできます。規約で禁止されていないサイトも多々ありますが、本来、既婚者は堂々と恋人探しをしてはいけません。
既婚者が出会い系サイトに登録したら違法?
「登録は独身者に限ります」「既婚者は登録することができません」と記載されているお見合いサイトでも、独身と偽って登録しただけでは犯罪にはなりません。ただし、出会った相手に独身と偽って交際した場合、賠償金を支払う理由になります。
出会い系サイトの女性に慰謝料請求はできる?
夫が出会い系サイトで知り合った女性に、妻として慰謝料を請求することは可能です。慰謝料を請求するために必要な条件について考えていきましょう。
故意による共同不法行為かどうか
相手の女性が、既婚者と知りながら肉体関係のある交際をしていたかどうかが重要なポイントになります。夫が既婚者だと公言していなくても、結婚指輪をしていたなど注意していれば既婚者であることが分かったはずなのに、女性が気づかないふりをしていたことが明確であれば、慰謝料を請求することができます。
不貞行為(肉体関係)があったことを証明できるかどうか
夫と女性が何度かホテルに出入りするところを撮影した写真や動画があればよいでしょう。文字でのやりとりだけでは難しい場合がありますが、ホテルで過ごしたことや、肉体関係をもったことがはっきりとわかるものであれば有効である可能性は高くなります。
相手の素性がわかっているかどうか
出会い系サイトでは偽名を使っていることも多く、正確な情報を得ることは難しいかもしれません。携帯電話の番号がわかっていれば、弁護士に依頼して相手の住所、氏名を調べてもらうことができます。探偵や興信所に依頼することも可能です。
慰謝料が請求できない場合もある
出会い系サイトを利用した不貞行為は、お互いに相手がどこの誰かもわからないまま付き合いが続いていることもめずらしくありません。夫がそのようなサイトを利用しているとわかっただけで大騒ぎしてしまうと、何もできずに泣き寝入りで終わる可能性もあるので注意が必要です。
夫が独身だと偽っていた
慰謝料を請求して初めて、相手の女性が既婚者と付き合っていたことを知る場合があります。夫が独身と偽って肉体関係をもっていたならば、相手の女性には故意・過失がなかったことになり、夫が慰謝料を請求される可能性もあります。
夫が脅迫や強姦をしていた
相手の女性に対して「出会い系サイトに登録していたことを家族にばらす」、「インターネット上に画像を公開する」など、脅迫して肉体関係をもっていた場合、夫の行為が違法となり、相手の女性には慰謝料を請求することができません。
すでに婚姻関係が破綻していた
出会い系サイトでの夫の不貞行為が発覚した時点で長期間別居をしているなど、夫婦が離婚を前提とした状態である場合は慰謝料の請求が難しくなります。その女性との関係が、円満な婚姻生活を送るという夫婦の権利を侵害した原因ではないとされるからです。
相手の素性がわからない
出会い系サイトのプロフィールや身の上話には嘘も多いため、夫でさえも相手の素性がわからないことも多いでしょう。サイト上のみのやりとりであった場合、アカウントを削除されてしまったら何も残りません。請求する相手がわからなければ慰謝料を請求することができないので、夫や相手の女性をうかつに刺激することはやめましょう。
慰謝料請求の時効が過ぎてしまった
不貞行為の事実、不貞行為の相手を知った時点から3年を過ぎると、慰謝料の請求ができなくなってしまいます。
出会い系で不貞行為の場合、慰謝料の相場は?
夫婦の婚姻期間や子どもの有無など、様々な要素によって変わりますが、一般的に不貞行為での慰謝料の相場は50万円~300万円とされています。出会い系による不貞行為の場合は、慰謝料が減額される可能性があるようです。相手の女性が金銭的な援助を求めていたなど、悪質なものであれば考慮されることもあるので、しっかりと調査する必要があります。
まとめ
出会い系サイトでの不貞行為は、単に性欲を満たすだけの関係も多いようです。恋愛感情をもたない関係だったとしても、それによって円満な夫婦関係が壊されてしまったら許すことができませんね。慰謝料を請求するためには、相手の素性を正確に調査し、有効な証拠を入手しなければなりません。一人で悩まず、弁護士に相談することをおすすめします。