パパ活サイトを理由に旦那に慰謝料請求
夫がスマホばかり見ていると思ったら、パパ活専用アプリをダウンロードしていた! これは不倫にあたるのでしょうか? また、夫に慰謝料を請求することは可能なのでしょうか?
パパ活は原則として肉体関係をもたない、食事などのデートだけのお付き合いなので、白でもない、黒でもない曖昧な行為です。とはいえ、夫が女性とそのような関係を築いているとしたら許せませんよね。
ここでは、慰謝料を請求できる場合とできない場合について解説していきます。
既婚者でもパパ活できる?
そもそも、既婚者がパパ活アプリやサイトを利用してもよいのでしょうか。
パパ活は出会い系やマッチングアプリとは違って、恋愛の相手を探すものではないとされています。若い女性が年上の男性と食事などをすることで、その時間への対価を支払ってもらうものです。そう考えれば、既婚男性が利用してもよいということになります。
パパ活の実態
既婚男性にとって、恋愛感情がなくても若い女性とデートができるとなれば嬉しいことでしょう。実際に食事をしたり、レジャースポットなどへ遊びに出かけたりするだけのお付き合いをしている人もいます。しかし、それだけにとどまらず、肉体関係をもってしまう人も少なくはないようです。
慰謝料の請求が認められる場合
既婚者が配偶者以外と自由意志で肉体関係をもった場合、一度だけの過ちでも不貞行為となります。ただし、複数回の不貞行為を繰り返していないと認められない可能性が高くなっています。
特定の女性と肉体関係をもっている
パパ活女子と肉体関係をもっていることがわかった場合、恋愛感情の有無にかかわらず不貞行為となり、慰謝料を請求するためには、複数回の関係を証明する必要があります。
複数回の肉体関係がわかるようなメッセージのやりとりや画像、2人でラブホテルに入って何時間も過ごしていた事実などが証明できれば離婚の理由にもなり、慰謝料も請求できるでしょう。
18歳未満の女子との肉体関係
18歳未満の児童に対して有償で性行為をすると、「児童買春」となり、逮捕されます。逮捕されなくても、児童買春の事実を知った場合、証拠をもって裁判をすれば、婚姻を継続し難い重大な事由となり、慰謝料も請求できるでしょう。
何人もの女性と1度きりの関係を繰り返す
不特定多数の女性に対価を支払って性行為を行えば「買春」となります。不貞行為には売春や買春も含まれるため、離婚の理由にもなり、慰謝料も請求できるでしょう。
慰謝料請求が認められない場合
不貞行為を繰り返すことで離婚や慰謝料の請求は認められますが、不貞行為に至らなくても、許せないと思うことはあります。
不貞行為にならない関係
日常的にメッセージのやりとりをして、食事をしたり映画を見に行ったりする程度では不貞行為にはなりません。手をつなぐ、腕をくむ、別れ際のキスでも不貞行為にはならないのです。パパ活で特定の女性とそのようなお付き合いを続けていても、離婚や慰謝料の請求を裁判所が認める可能性は低くなります。そのような夫の行為によって妻が精神的苦痛を受け、婚姻関係破たんの原因になったという理由で裁判所が慰謝料の支払いを命じた判例が存在しますが、極めてまれなケースです。肉体関係の証拠がない場合の慰謝料請求は難しいようです。
夫婦関係が事実上破たんしていた
パパ活をする以前から夫婦関係が破綻していた場合、夫が別の女性と肉体関係をもっても慰謝料の請求が認められなくなります。婚姻関係の破綻とは「夫婦が婚姻継続の意思をなくしてしまい、夫婦としての共同生活を回復する見込みがない状態(民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」)」です。それが証明された場合、慰謝料請求は難しいでしょう。
まとめ
夫がパパ活をしていると知っただけでも、嫌悪感からこれまでのような夫婦関係ではいられなくなってしまうこともあるでしょう。パパ活は不倫になるかどうか、曖昧な部分の多い行為ですが、「不貞行為」と認められる証拠が複数あれば問題なく慰謝料を請求できるでしょう。