【事例紹介】出会い系サイトで知り合った女性から妊娠したと告げられ、金銭を請求された事案

出会い系サイトにおいて知り合った女性と性行為をした後、暫くして妊娠をしたとの連絡があり、女性の兄と名乗る人物から中絶費用や慰謝料名目でのお金を請求されているというご相談を受けた事例についてご紹介いたします。

連絡の窓口は女性の兄を名乗る人物であったことから、まず金銭の請求をするにあたっては、請求の主体である女性がどこの誰であるか、当該女性から代理人として交渉をする権限を与えられているのか、交渉する権限があるとして当該女性の妊娠の事実が確認できる証拠はあるのかと、妊娠が事実だとしてご依頼者様と生物学的な親子関係があるのか、といった事実を確認しなければなりません。

また、仮に全て事実であったとしても、中絶費用を誰が負担するかという問題は一義的に決まるものではありませんし(女性の心身に負担がかかることから、男性が必要な費用を支払っているケースが多いかと思いますが)、さらに慰謝料となるとご依頼者様の行為が何らかの精神的苦痛を与えたという事実まで確認できなければなりません。

以上、兄を名乗る人物から、妹が妊娠をした、責任を取れと言われると、感覚的に何らかのお金を払わなければならないのではないかと思う方もいらっしゃるかと思いますが、相当多くの事実を裏付けとなる証拠をもって確認しなければならないわけです。

この事案でも、上記の点を一つ一つ確認させてほしいと兄を名乗る人物に伝えたところ、それ以降全く連絡が取れなくなってしまいました。

事実は不明ですが、ご依頼者様は金銭の支払いをすることなく、またこの後も女性や兄と名乗る人物から連絡が入ることはありませんでした。

もちろん真実の可能性もある訳ですから、最初から嘘と決めつける訳にはいきません。

相手の感情を傷つけぬよう、また無用な刺激をしないよう、法律家である以上、事実を確認し法的根拠があることが認められなければ払えないという形で、冷静に話を進めていくことが重要です。

妊娠や中絶といった繊細な問題であるため、慎重な対応をしていく必要がありますが、やはり事実を確認できない以上、やみくもにお金を払うわけにはいきません。

出会い系サイトなど出会いの形が多様化した現代においては、上記のような事例が頻発していきます。

お金を払ったり、合意の書面を作成したりする前に、出会い系サイトに関しての不当要求に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、一度弁護士に相談してみるといいかもしれません。